歯科・口腔外科
概要と特徴
・一般歯科治療、歯科医院で治療困難な歯科口腔外科疾患、全身麻酔下での手術、いびきと睡眠時無呼吸症候群の治療を実施します。・短期入院による心電図、バイタルをモニターしながら安全を考慮した小外科手術を実施します。(親知らずの4本同時抜歯、良性のできもの嚢胞腫瘍等、骨折などの外傷)
・短期入院による小外科手術は2泊ほどの入院管理下で点滴加療を併用し、術中術後の疼痛や不安を軽減させます。
・外来での手術に対する不安などの相談に対応します。
口腔外科診療内容
口腔外科は以下のような口腔・顎・顔面領域の疾患の治療を行っていきます。腫瘍性疾患(顎骨や口腔軟組織の腫瘍)、外傷(顔面、顎、歯の外傷、骨折)
嚢胞性疾患(顎骨内、口腔軟組織内の液体の入った袋)
炎症性疾患(歯茎、顔面が腫れている、蓄膿症、骨髄炎等)
顎関節疾患(口を開けると顎が痛い、音がなる、口が開かない等)
唾液腺疾患(唾石等)口腔粘膜疾患(口内炎、白板症、扁平苔癬等の治療)
埋伏歯(親知らずの抜歯等)
神経疾患(三叉神経痛、知覚麻痺、舌痛症)
周術期の口腔機能管理(入院中の患者さまの口腔ケア)
当科を受診される方へ
平成29年11月より予約制となりますが、予約のない患者さんも受診可能ですので、午前8:30~12:00までに受付をして下さい。またかかりつけ医療機関、近隣医療機関を受診され紹介状をお持ちの患者さまは紹介状を持参し来院して下さい。不明な点は代表(TEL:075-441-6101)より歯科に問い合わせしてください。
紹介元の先生方へ
当科では2次医療機関として、一般歯科治療及び口腔外科疾患の治療を中心に地域の医療機関の先生方と連携を進め医療技術の向上と良質な医療サービスを提供するとともに、地域医療に貢献していきます。患者さまの診察は原則予約制となっておりません。患者さまをご紹介くださる際は地域連携室(TEL:075-441-6146 FAX:075-441-4913)へ8:30~17:00の間にご連絡いただき診療予約をとっていただくか、患者さま自身で当院に紹介状を持参していただくようにご説明お願い致します。
スタッフ
いびきと睡眠時無呼吸症候群の歯科的治療 ~スリープスプリントについて
習慣的いびき症は日本国内で2000万人といわれ、そのうち約10%が寝ている間に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群(SAS) だと推定されます。充分な睡眠こそ健康の源です。ところが、いびきをかいているのは眠りが浅い証拠で、その代償として日中の眠気をもたらし、仕事の能率低 下や居眠り運転事故を起こすなど、社会生活に様々な支障をきたしています。また、長期にわたっていびきや無呼吸症が続きますと、高血圧、不整脈、心臓病、糖尿病などを誘発したり、記憶力や思考力の低下をまねたりします。 SASの治療法には、CPAPと呼ばれる経鼻式持続陽圧呼吸装置によって気道を確保する方法がありますが、就寝時に口腔内に装着するスリープスプリントは、低コストで携帯にも便利であり、習慣性いびき症や軽症のSASでは欠かせない治療法となってきています。また、SASには歯軋り症の割合が高いとの報告もあり、スプリント療法が活用できます。
当病院の歯科・口腔外科では、呼吸器内科専門医による睡眠時無呼吸外来と連携・協力して、集学的診療に取り組んでいます。
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専門外来としていびき外来(スリープスプリント)を開設し、呼吸器内科専門医による睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来と連携・協力して集学的治療を行っています。検査で睡眠時無呼吸症候群(SAS)と確定診断されれば、(いびき防止)マウスピース(スリープスプリント)治療が保険適用になりました。平成17年度、マウスピースの治療は約70症例でした。いびきに対して90%以上、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対して70%以上の症例で十分効果がありました。
舌痛病や口腔内乾燥症(ドライマウス)、味覚異常症、顎関節症などの治療や最近注目されている口臭治療そしてスポーツ歯科などにも取り組んでいます。
当科は、歯科医師2名、歯科技工士1名、歯科衛生士1名が常勤している京都市北区では唯一の常勤医師在中の「病院歯科・口腔外科」です。
主要医療機器
歯科用チェアユニット4台、パノラマ及びセファロX線撮影装置、高圧滅菌器、歯科技工設備完備口腔内乾燥症(ドライマウス)
こんな症状で悩んでいませんか? | |
◆ 口が渇く | ◆ 口角(口の脇)が荒れる |
◆ 口の中がねばねばする | ◆ 胃腸の調子が悪い |
◆ 口の中が赤くなる | ◆ 夜、のどが乾いて目が覚める |
◆ 舌がつるつるになっている | ◆ 口臭がある |
◆ パンやビスケットなど乾いた物が食べにくい | ◆ 入れ歯で口の中が傷つきやすい |
◆ 味がおかしい | ◆ 皮膚が乾燥する |
◆ 目と口が乾く | ◆ 指先が冷たくなる |
● 人口の約25%が口腔内乾燥症(ドライマウス)に罹患しているという欧米の疫学調査があり、これをわが国に換算すると日本でも約3000万人の潜在患者数が推定されています。しかしながら、どの診療科を受診すべきかさえ知られていないのが現状です。
● 口腔内乾燥症(ドライマウス)は、口腔に症状が認められることから、歯科・口腔外科による対応が望まれますが、本症の診断法や対処法も十分に普 及しているとは言えません。このことから、新たな診療分野を担う歯科医師の役割が求められていると考えます。ここでは、口腔内乾燥症の診断法や当院におけ る対処法について概説したいと思います。
● 唾液は食べる、味わう、飲む、話すといった人間の根本的な機能を営む上で最も重要です。そのため、唾液線の機能が落ちると途端にQOL(生活の 質)が低下します。また、唾液は傷を治す成長因子や抗菌物質を分泌しており、口のみならず全身の臓器を守る役目も担っています。このような重要な役目を 担っている唾液の分泌低下が起こることを口腔内感染症(ドライマウス)と呼んでいますが、ドライマウスはそれだけではありません。
● ドライマウスの自覚症状は口腔乾燥感の他、会話困難、摂食・嚥下障害、舌痛、味覚異常、口臭などがあります。唾液分泌低下が明らかではないにも 関わらず、このような口腔乾燥関連症状を訴えることも少なくありません。このことから口腔粘膜疾患、神経疾患、精神・神経科的疾患なども念頭に置き対処す る必要があります。
ドライマウスの原因

1.のどの渇き | ① 脱水 ② 糖尿病、腎疾患、尿崩症 |
2.唾液分泌量低下 | ① 自律神経への影響 ・抑うつ、ストレス ・脳血管障害・手術や外傷 ② 自律神経-唾液線の情報伝達障害 ・薬物の副作用・抑うつ、ストレス ・糖尿病・筋力の低下 ③ 唾液線の破壊 ・シェーグレン症候群 ・放射線治療 ・手術や外傷 ・糖尿病 ・加齢 |
3.唾液の過蒸発 | ① 口呼吸 ② 夜間口腔乾燥 ③ 脳血管障害 |
4.口腔乾燥なし | ① 口腔領域の疾患 ② 精神科的疾患 |
1. 唾液分泌促進薬 ・ セビメリン塩酸塩水和物(サリグレンR、エボザックR ) ・ ピロカルピン塩酸塩(サラジェンR) ・ アネトールトリチオン(フェルビテンR) 2. 唾液線刺激療法 ・ 咀嚼による刺激(ガム咀嚼など) ・ 味覚による刺激(ガム、キャンディーなど) ・ 筋機能療法 3. 歯科的治療 4. 粘膜疾患への対応 ・ 軟膏 ・ 含嗽薬 ・ 抗真菌薬 (1)ミコナゾール(フロリードRゲル) (2)ファンギゾンRシロップ (3)イトラコナゾール(イトリゾールR) 5. 粘膜の保湿 ・ 保湿剤 (1)保湿ジェル(オーラルバランスR) (2)保湿剤配合の洗口液(バイオティーンR、マウスウォッシュ) (3)保湿スプレー(バイオテクストラR、アクアマウススプレー) ・ 人工唾液(サリベートR) ・ 保湿装置(モイスチャープレート) ・ 部屋の保湿 6. 心身医学的アプローチ |