疾患別治療方針

急性白血病
 急性骨髄性白血病と診断された場合、若年者では抗がん剤を用いた寛解導入療法を行った後、予後良好群に対しては地固め療法を行い、予後中間群・不良群に対しては同種造血幹細胞移植(血縁・非血縁・臍帯血)を考慮します。高齢者では個々の症例に応じた寛解導入療法、地固め療法を行います。70歳未満の予後不良症例には骨髄非破壊的前処置による同種造血幹細胞移植(血縁・非血縁・臍帯血)も考慮します。 急性前骨髄球性白血病では、全トランス型レチノイン酸を用いた分化誘導療法を行った後、地固め療法を行います。 急性リンパ性白血病と診断された場合、多剤併用寛解導入療法を行った後、地固め療法・維持療法、中枢神経浸潤の予防を行います。フィラデルフィア染色体陽性の場合はチロシンキナーゼ阻害薬も併用します。

慢性骨髄性白血病
 分子標的治療薬であるチロシンキナーゼ阻害薬による治療を行います。合併症や有害事象に応じてチロシンキナーゼ阻害薬を選択し、遺伝子レベルの検査で治療効果をモニタリングしていきます。

悪性リンパ腫
 ホジキンリンパ腫の場合、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の限局期では放射線療法で治療しますが、それ以外の場合は化学療法単独または化学療法と放射線療法の併用を行います。再発例で若年者の場合には自家末梢血幹細胞移植を考慮します。 非ホジキンリンパ腫の場合、病型によって治療方針が異なるため、正確な診断が必要です。病型に応じたモノクローナル抗体や分子標的治療薬を併用した化学療法を行います。高悪性度症例や再発例で若年者の場合には自家末梢血幹細胞移植や同種造血幹細胞移植(血縁・非血縁・臍帯血)を考慮します。

多発性骨髄腫
 大量化学療法(自家末梢血幹細胞移植)の適応がある若年者(65歳以下)と適応のない高齢者によって治療方針が異なります。移植適応患者では寛解導入療法後に自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を行います。移植非適応の患者ではベルケイドやレブラミドといった新規薬剤を用いた化学療法を行います。ベルケイドやレブラミドのほかにも新規薬剤が多数登場し、これらを組み合わせることにより治療成績は大きく改善されつつあります。当院では新規薬剤の開発治験も行っています。

ALアミロイドーシス
 ALアミロイドーシスはアミロイドという蛋白が心臓や腎臓など全身の臓器に沈着し、臓器障害を引き起こす難病です。非常にまれな疾患で診断も難しく、これまでは有効な治療法もありませんでしたが、近年、多発性骨髄腫の治療法を応用することにより治療成績が改善されつつあります。当院ではこれまで80例以上のALアミロイドーシスに対して化学療法や自家末梢血幹細胞移植を行い、5年全生存率は45.8%という成績が得られています。

参考文献:

Fuchida S, et al. A retrospective analysis of treatment outcomes in 45 patients with cardiac light-chain amyloidosis: a single center experience in Japan. Int J Hematol. 2020.

島崎千尋. 本邦におけるALアミロイドーシス. 臨床血液 2019. 島崎千尋. アミロイドーシスのすべて. 医歯薬出版 2017.